コロナ感染症も終息を迎えつつあり、実地調査を中心とした税務調査も再開されてきました。
そこで、今回は国際税務調査の調査官の視点から注意すべき取引を考えていきたいと思います。
勘定科目内訳書における確認
①売掛金・未収入金に海外の企業名がある
海外取引の有無が認識され、海外取引に特有のリベートの有無について検証を行います。つまり、海外企業との取引関係のヒアリングを基にリベート取引が必要かどうかを検証するという事であり、特に契約があるかどうかではなく、取引実態から適正な取引条件であるかどうか(収益の計上漏れ)がないかを検証するという事です。
また、海外取引があるという事は、社長や社員の海外出張も予測されるため、海外旅費や滞在費の消費税処理が適正か、為替換算が適正に行われているかを確認します。
②貸付金・借入金に海外企業名がある
貸付金の利率は、高くても低くても税務上の問題になり、円建てか、外貨建てかによっても適正利率の考え方が異なります。
よって、契約書等を中心に利率が適正かどうかを検証します。最近では、移転価格事務運営指針が改訂されたこともあり、信用保証料とあわせて注目ポイントです。
③投資有価証券に海外企業名がある
まずは、出資比率を確認します。その上で、タックスヘイブン税制、移転価格税制、海外子会社受取配当益金不算入制度、海外寄附金の適用があるかどうかを、出資会社毎に確認したうえで、各税制の適用が適正に検討されているかを確認します。
事業概況書で海外子会社(海外支店)の有無を確認
海外子会社がある場合には、親会社から海外子会社への出向者がいると考えられます。
そのため、出向者の源泉徴収(給与・賞与)は適正に行われているか、子会社が負担すべき費用を親会社が負担していないか、などを検証します。また、出向者給与の格差補填は適正かについても重要確認事項です。
海外送金についての確認
最近はCRS(CRSについてはコチラ)により、海外預金の動きは常にチェックを受けています。海外送金をしている相手先が個人口座の場合には、取引内容や源泉徴収の有無を中心に確認がされる事になります。
また、海外からの送金を受けている場合には、送金目的欄を確認されます。実際の取引と相違した送金目的が記載されている場合には、合理的な説明を求められますので注意が必要です。海外企業からの送金は、(海外の)金融機関の要請などから送金目的が実際の取引内容と合致しない場合が散見されます。
事業年度ごとに提出している税務申告書だけからでも、上記のようなポイントがピックアップされます。調査官によっては、複数年度を一覧表にして金額推移などをチェックしている方もいるようです。]
申告書の提出前に再度記載内容などを確認し、内部チェックをしてはいかがでしょうか。