最近の税務調査では、海外子会社との取引についての否認事項が増えています。
国税局は、国税税務専門官を増加し、中堅中小企業の海外子会社との取引について調査・指導を本格化させています。
そこで、今回は調査で必ず確認される事項を解説いたします。
1.給与格差補填金の金額は妥当か?
海外子会社への出向社員給与を親会社が負担してませんか。
負担している場合、給与格差補填金の金額は妥当ですか。
国税局の基本的な考え方は「給与は働いている会社で負担すべき」です。
親会社において損金算入されるためには、給与負担額に妥当性がある必要があります。
海外子会社で負担すべき妥 当な給与相当額を、出向者の役職・業務などから検討する必要があります。
2.適切な対価を回収していますか?
海外子会社に出張して技術指導を行った場合、適切な対価を回収していますか。
技術指導などを行った場合には、少なくともその役務提供に要した総原価を対価として収受する必要があります。
総原価の算定に当たっては、直接費に加え間接費まで含めて算定します。
3.適正な利率で利息を回収していますか?
海外子会社に対する貸付金がある場合、適正な利率で利息を回収していますか。
外貨建てで貸し付けている場合には、外貨の金利水準を参考にする必要があります。
移転価格事務運営要領に利率の決定方法が決められています。
4.契約書の金額を回収していますか?
海外子会社との契約に定められている金額を回収していますか。
海外子会社の業績が順調でない場合、当初締結した金額を回収していない場合が散見されます。
国税局からは、契約書に定められた金額にて所得計算をするように指導を受けます。