移転価格事務運営要領3-9において、日本の親会社が海外子会社に対し行った出張や出向による支援以外にも、 国内で経理や人事などの支援を行った場合には、その支援業務は企業グループ内役務提供(IGS)の対象となる旨が規定されています。
今回はIGSについて、
①IGSの判定
②IGSの対価算定
のポイントについてお知らせします。
①IGSの判定のポイント
日本の親会社が海外子会社に対して行った役務の提供がIGSに該当するかどうかの判定は 次の2つがポイントとなります。
(1)子会社と同じ状況にある第三者が他の第三者から同様の活動を受けた場合に対価が発生するか。
(2)親会社が子会社にその活動をしなかった場合、子会社自らが同じ活動を行う必要があるか。
これらに当てはまる海外子会社への役務提供は、IGSに該当するため適切な対価を収受しなくてはなりません。
②IGSの対価算定のポイント
IGSの対価を算定するには、2つの方法があります。
(1)子会社と同じ状況にある第三者に、同様の役務の提供をしている他の第三者の価格をもとに対価の算定を行う方法。
(2)役務提供にかかった費用を対価として算定する方法。
(1)の方法は、他の第三者の価格情報を得ることは困難であるため、
通常は(2)の方法で算定することになります。
その場合、その費用には実際にかかったコストだけでなく、間接費や人件費相当額も含まれることに注意が必要です。
間接費は厳密ではなくとも、取引割合や従業員数といった一定の割合で算定し、IGSの対価に含めることが求められています。
IGSを提供していながら適切な対価を収受していない場合には、税務調査で対価の収受漏れを指摘される可能性があります。
海外子会社に役務提供を行う際には、IGSに該当するものではないか、また適切な対価を収受しているか、 今一度ご確認ください。