最近、グローバル企業では日本での外国人雇用が増えてきております。
また、同時に海外子会社で採用をした外国人社員を、研修などの目的で比較的短期間(1年未満)、日本親会社で勤務させる場合も散見されます。
今回はこのような状況に着目し、1年未満の日本での勤務する外国人の社会保険・労働保険の 取り扱いについて解説します。
① 給与が日本法人から支払われている場合
日本法人との間で「雇用関係がある」とみなされます。
したがって、勤務日数が2か月以上であれば 社会保険への加入が必要です。
なお、赴任元の国と日本の間に社会保障協定が発効している場合は、 赴任元の国での年金等加入を条件に日本の厚生年金等が免除になる場合がありますので、当該国間での社会保障協定の確認が必要です。
雇用保険・労災保険は国内の労働者と同様(週4分の3以上の勤務)に加入が必要です。
② 給与が日本法人から支払われていない場合
日本法人との間で「雇用関係がない」とみなされます。
したがって、社会保険に加入することはできません。
また、雇用保険の加入義務はありませんが、労災保険については、日本法人との間に指揮命令系統が存在すれば支払いが必要になるので、注意が必要です。
ただし、住民登録をしている外国人(通常、滞在期間が3か月以上の在留カードを保有している場合には、 住民登録が必要になります)は、国民健康保険、国民年金への加入義務が生じます。
ただ、国民健康保険は 前年の日本国収入によっては基本料金部分が減額になりますし、国民年金についても免除要件があるので、 要件及び申請手続きの確認をするべきといえます。
住民登録をしていない場合には、健康保険・国民年金の加入手続きができません。
外国人の滞在期間が短い場合には、社会保険などの手続きについては、制度通り手続きされない場合が多いですが、コンプライアンスの観点から正しく手続きすることが求められます。