現在、デジタルサービスに対する課税は、GAFAに代表される所得実体のつかみにくい多国籍企業に対して、どの国でどのように課税するかの方法が確立されておらず、G20やOECDで、議論されています。
多国籍企業は 常にその所得について課税すべき国が問題になり、移転価格税制、海外子会社合算税制などの措置が取られてきました。
しかし、そのような課税制度では対処できない取引が、オンライン広告やデジタルプラットフォームサービスなどに代表されるデジタルサービスに対する課税(以下、デジタル課税)です。
現在の課税制度ではPE(恒久的施設)という物理的拠点に対して行われており、「PEなくして課税なし」という大前提に則し、経済活動の行われている国や法人登記している国にて課税がされています。
しかしながら、デジタル経済下では、利益を上げるために必ずしもPEが必要にならない場合が多くあります。
そのため、デジタル課税の議論では物理的な場所に関係なく、重要なデジタルプレゼンス(オンライン広告やデジタルプラットフォームサービスなど)を有するものが存在する国での課税権を認めるという事が検討されているのです。
これは、企業規模に関係なく課税対象とされるため、自社の規模がそれほど大きくなくても、オンライン広告やデジタルプラットフォームサービスなどの事業を行う会社は、デジタルサービスを行った国で課税される事となります。
デジタル課税については、形のない概念的な考え方に基づき課税が検討されているため、今後の議論を注視し、的確な対応を心がけることが必要です。