日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外法人に出向などに転勤すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
この場合には、転勤時に年末調整が行われ日本での課税関係が終了します。
非居住者となった後に、日本国内で発生した一定の所得については、引き続き日本の所得税が課税されます。
例えば、国内にある貸家の賃貸料などの不動産所得が一定額以上あれば、毎年確定申告書を提出しなければなりません。
このような場合には、非居住者の確定申告書の提出、税務署等からの書類の受け取り、税金の納付や還付金の受け取り等、納税義務を果たすために納税管理人を定める必要があります。
納税管理人とは、納税義務者に代わり、納税に関する書類の受領、納税や還付金の受領などの一切の手続きを管理する方のことを言います。
そこで、賦課期日から納税通知書送付までの間に、納税義務者が国外へ転出される場合には納税通知書を納税義務者本人の代わりに国内で受け取り、納税する納税管理人が必要となります。
納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。
この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は、納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
また、帰国し居住者になるなど、先に選任していた納税管理人を解任する場合は、納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の解任届出書」を提出しなければなりませんので、注意が必要です。