海外不動産への投資による節税について、政府与党は他の納税者との公平性を考慮し、 節税できないようにする方針を固めたようです。
日本経済新聞の報道によれば、2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込んで、21年分以降の所得税に適用される見通しのようです。
保有する不動産を賃貸することで得る家賃収入は、給与などの課税所得と合算して申告しますが、一方でその不動産投資で発生した経費も確定申告において控除し課税所得を下げることができます。
この時の大きな経費が取得した不動産の減価償却費です。
海外不動産投資での大きな節税メリットは、日本の不動産に比べて海外不動産はこの減価償却費を大きく計上できる点にあります。
欧米では日本の建物に比べ築年数に関わらず建物の価値はあまり下がらない傾向にあります。
ニューヨークにある物件では、築60年を超えても建物比率が90%前後という物件もあり、経費計上できる減価償却費が、海外不動産の場合かなり大きな額になります。
さらに、日本の減価償却計算のルールでは、中古の物件であれば、耐用年数をさらに短くして計算することができるため、大きな減価償却費が計上できます。
結果、家賃収入を上回る減価償却費などを計上して赤字を発生させ、日本の給料などの他の所得と通算(損益通算)することで節税を図ることができたのです。
20年度の税制改正では、海外の中古物件で生じた赤字はなかったものとして扱い、日本国内での損益通算には使えないようにする方向のようです。
節税目的のみで保有される海外不動産については、今後の対応を検討していく必要がありそうです。