年末なので、税制改正大綱に触れてみたいと思います。
今年も12月12日に「令和2年度税制改正大綱」が公表されました。
全部を読むのは大変ですが、冒頭に記載されている基本的考え方を読むと現在の政府の意識がどこに向いているのか傾向がつかめます。
各省庁の要望をまとめた税制改正案であり、文量としては100頁ほどのボリュームがあります。
令和2年度税制改正の基本的考え方には、次の順番で解説がされており、昨年の税制改正大綱でも言葉を変えて出てきた項目ばかりであり、2年を通じて大きな意識の変化はないように思います。
①デフレ脱却と経済再生
②中小企業等の支援・地方創生
③経済のグローバル化・デジタル化への対応
④経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
⑤円滑・適正な納税のための環境整備
なかでも①と③の内容となる、5Gの利用環境整備に関する設備投資減税と海外投資関係の施策については目を惹かれます。
国内での積極的な設備投資は税制優遇がされる一方で、海外中古不動産投資や海外会社のM&Aを利用して日本の税金を過度に減少させる行為には、政府の断固たる姿勢がうかがえます。
特に海外M&Aは今年の夏頃に話題になったソフトバンクの節税策を封じるような措置が、驚くべき早さで対処されています。
その他にも海外がらみの分野では、外国子会社合算税制の見直し、非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度等の見直し、国外財産調書制度の見直し、日本国外に居住する親族に係る扶養控除の見直しがされています。
海外取引のある法人や個人については、今一度見直しをされてはいかがでしょうか。
来年3月末の国会審議及び法案成立まで、順次詳細な情報が公表されます。
今後は各項目についてわかりやすく整理し情報発信していきます。