シンガポールコラム(個人所得税編) | アタックス税理士法人 国際部

シンガポールコラム(個人所得税編)

2020年2月3日

日本でも確定申告の時期となりました。こちらシンガポールでもチャイニーズニューイヤーが過ぎ、個人所得税のシーズンになっています。

今回はシンガポールの個人所得税についてコラムをお届けします。

Table of Contents

◆ 法体系

シンガポールでは、所得税法(IncomeTax)の中に法人税と所得税との取り扱いがあり日本のように法体系が分かれておりません。このコラムでは、便宜的に個人所得税として記載させていただきます。

◆ 概要

シンガポールでは、日本のように給与所得の源泉徴収制度がありません。そのため、サラリーマンも個人所得税の申告及び納税の義務があります。日本では基本的に納税期限も申告と同じ期限になりますが、シンガポールでは賦課決定に基づき納税額が確定するため、申告期限と納税期限にタイムラグが生じる点も大きな相違点といえます。

(1)居住者・非居住者の区分

基本的に次のいずれかに該当する場合は、居住者として扱われます。2. については複数年滞在するには、滞在日数に関する例外規定が存在しますが、ここでは詳細解説を控えます。

  1. シンガポール国籍または永住権を持ち、シンガポールに居住する者
  2. 外国籍であってもシンガポール滞在が1暦年において183日以上の者(シンガポール法人の取締役就任しているものは除く)

(2)税率

居住者に対しては最高税率を22%とする累進課税制度が採用されています。

例えば、1,000万円の所得に対する実効税率は約7%です。日本の場合は、同じ所得水準に対する実効税率は約18%ととなり、住民税を合わせると約28%になります。シンガポールでは住民税がないため、日本と比較すると税率がかなり低いことがわかります。

(3)課税対象

個人所得税の対象となる項目は、給与や賞与に加えて、住宅手当などの現物給与が対象になります。シンガポールへの赴任者に対し、休暇等で帰国する費用を会社が負担する場合も基本的に課税対象になります。各種所得控除もありますので、日本の制度と比較しても、給与所得の計算については、特筆すべき相違点はありません。

(4)注意点

譲渡所得に関するタックスメリットを受ける目的でシンガポールへ移住し、日本法人等の株式を譲渡するケースが散見されます。実際には、両方の国の個人所得税の取扱いを慎重にご判断いただき、必要にお応じて専門家への相談をお勧めします。譲渡をした後ではなく、譲渡の計画をする時点での相談を心がけてください。

次回シンガポールコラムでは、法人所得税についてお伝えをする予定です。ご期待ください。

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