シンガポールコラム(法人所得税編) | アタックス税理士法人 国際部

シンガポールコラム(法人所得税編)

2020年3月13日

日本ではそろそろ花粉が本格化するシーズンですね。コロナウィルス対策でマスクをつけた方も次は花粉対策としてマスクが手放せない時期です。花粉症の方から聞いたところによると、シンガポールではそんな花粉に悩まされることもないようで、春先も快適に過ごせるとのことです。

今回は、シンガポールの法人所得税についてコラムをお届けします。

◆ 法体系

前回の個人所得税コラムでもお伝えしたように、シンガポールでは、所得税法(IncomeTax)の中に法人税と所得税との取り扱いがあり日本のように法体系が分かれておりません。このコラムでは、便宜的に法人所得税として記載させていただきます。

◆ 概要

(1)賦課課税制度

日本の法人税は申告納税制度がとられていますが、シンガポールでは賦課課税制度が採用されています。納税者が申告した所得及び税額を当局が審査し、税額を確定させる方式となっています。そのため、税額確定までに非常に長い時間がかかるのが実態です。

(2)申告期限

①仮申告

一定の免除要件はあるものの、原則、事業年度終了後3か月以内に見積課税所得を申告しなければなりません。この仮申告に対しても、税額の賦課決定が行われ、納税者は仮納税をすることになります。

②確定申告

各事業年度末の翌年11月末が申告期限となります。電子申告の場合はさらに申告期限が2週間ほど延長されます。例えば、今月末に決算を迎える法人も、確定申告を提出するのは来年の11月になります。初めてシンガポールで決算業務に携わった際には、税額計算をしている期間を 間違えたのではないかと思うほどです。

(3)税率

すべての法人に対し一律17%の税率が適用されます。日本の軽減税率のようにな制度も一部も受けられているため、実効税率は17%以下になります。個人所得税と同様、日本と比較すると、税率が低いことがわかります。また、地方の概念がないため、都道府県や市町村に納税する法人地方税や法人事業税もありません。そのため、地方税を含めた実効税率は日本よりかなり低いことになります。

(4)課税対象

特徴として挙げられる主な点は次の通りです。

①課税されない項目(益金不算入)

キャピタルゲイン、シンガポール法人からの配当、国外源泉所得でシンガポールに未送金のもの等

②損金不算入となる項目

キャピタルロス、減価償却費、車両関連費、資本取引に当たる為替差損益、事業に関係のない交際費

株主が50%以上異動した場合の税務上の繰越欠損金等

(5)税務調査

日本のような実地における税務調査は基本的には行われません。申告した内容について、課税当局は納税者もしくは代理人に問い合わせはしますが、回答等はすべてメールや書面で行われるため、当局と対面での交渉などが行われることはない点も日本と大きく異なります。

昨今、シンガポールの予算が公表されるとともに税制改正の内容も公表されました。割増償却の制度や課税軽減措置の延長が行われるなどの措置が講じられています。政府はコロナウィルスの影響による景気減速が大きいとみているようです。

実際に活躍されている方々に聞いても、景況感は決して良くないという見方をされています。今年は総選挙がありますので、そんな景気対策も論点の一つになりそうです。

次回以降のシンガポールコラムもご期待ください。

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