ツアー企画の舞台裏
ツアーでは初めてのホテル業である「スーパーホテル」。
激論の中でひとつの課題が浮かび上がってきた。
西浦:「スーパーホテルは大変素晴らしい池クジラだけれど、僕の感触だと、どこが凄いのか、もうひとつお客様に伝えづらい。いつものように、現場の見学だけでは、お客様は物足りないのではと思うんだ」
「強さ」×「愛される」というポイントを学ぶとはいえ、わざわざ時間を割いて足を運んでくれる経営者に最も伝えたいのは「知識」を超えた「体験」。
五感で感じ取ってもらうことこそ、「強くて愛される会社」の現場に飛び込むツアー最大の魅力。
運営は常にそのことを追求している。
モニター越しに事務局長が、アイデアを出してきた。
西浦(美):「今回は前日から現地入りして、全員スーパーホテルに一泊してもらうのはどうでしょう?!西浦代表が感じた『居心地・寝心地』が一番腹落ちすると思うんですよね」
西浦:「それ、面白い!アイデアとしても新しいし、ツアーの新しい魅力も引き出せるんじゃないかな」
西浦(美):「では、1泊2日でどんな行程が考えられるか、いくつかスケジュール案を出してみますね!」
実は、このアイデアには「元ネタ」がある。
視察ツアーでは毎回参加したお客様にアンケートを実施。
そこに「宿泊付きのツアーに行ってみたい」という要望があったのだ。
お客様の要望やアイデアをもっと活かせないだろうか。
これもまた毎回のように上がる議題だ。
坂本:「アンケートで今後行きたい会社を書いてもらっていますが、前回のアンケートにあった〇〇社は、視察先としていいんじゃないでしょうか」
西浦:「〇〇社は、少し大企業じゃないかな?池クジラとしては規模が大きすぎるかな」
西浦(美):「理念やあり方に中小企業的な要素があれば、検討してみる価値はあると思います」
こうしたディスカッションが、常に新しい発見のあるツアーの原動力なのだ。
所長、坂本洋介の“仕入れ力”
質問を続ける西浦に、直接答えを返すのが坂本洋介所長。
坂本:「〇〇は、時期によって価格変動がありますね。〇〇は価格はスーパーホテルに近いです」
西浦:「よく勉強しているね!」
坂本:「いちおう全部泊まってみましたから」
いま見に行くべき企業はどこにあるか。
まだ自分たちの出会っていない「強くて」「愛される」会社はないか。
常にアンテナを張り、情報収集をし続ける。
坂本所長の役割は、西浦道明曰く・・・
西浦:「仕入れ担当だよね。新鮮で美味しい魚は、どこに行くと出会えるか。坂本君が一番よく知っているんだよ」
坂本:「まずアンテナを張っているのは、いろいろな賞の受賞企業。それ以外にもネットワークはいろいろ作っています」
ご存知の方も多いと思うが、坂本所長は
「日本でいちばん大切にしたい会社」でも著名な中小企業研究の第一人者、坂本光司先生の長男だ。
長く父親のアシスタントもつとめていて、「目利き」の眼力は鍛え抜かれている。
坂本:「我々は単にいい企業を見に行くのが目的ではなくて、強い部分と愛される部分を兼ね備えた企業を絞り込んでいく」
坂本:「社員さんたちがどう思っているのか、社員さんたちに愛されているのか、
中を見せてもらう前にその部分を見極めるのが一番難しい。
そこで活用しているのは、これまでの知見から独自に作った『理念経営シート』
およそ10項目の要素にあてはめて、一度仮説を立てるんです。
それを西浦代表理事が発行するメルマガの原稿チェックという形で先方に見てもらう。
ここで来た回答が、すごく良い判断材料になるんですね」
中小企業とともにある「伴走者の誇り」として
会議は毎回1時間と決めている。
「中小企業の伴走者」であるアタックスグループ代表として多忙を極める西浦道明だが・・・。
伴走者のトップであるがゆえに誇り・プライドがある。
西浦:「月に2回、何があってもこの会議の時間は確保している」
だからこそ、話さなければならないことは山積みだ。
西浦:「来年、さらに先も考えておかないと。今まで行ったところで、参加をお断りするほど人気が高かったところは、再度検討してみよう」
候補の中には、立地環境に左右される場合も多い。
ツアーとしての魅力、快適さまでも視野に入れた討論が進む。
坂本:「ここは良いんですけど、少し遠すぎるのがハードルです、どうスケジュール組むかですね」
西浦:「夏だと工場が暑すぎるし、冬だと積雪で電車が止まってしまう。どちらもお客様が学ぶためには負担になるからね」
西浦:「逆に、この会社は決めていきたいから、こちらから候補日をあげていかがでしょうかと、畳み込む様にアプローチしていこう」
これまでの4年間で、ツアーは46回、訪問した視察先は35社にのぼる。(2019年9月末時点)
これからは「強くて愛される会社」しか生き残れない。
西浦道明は何度もそう繰り返す。
彼は、本気なのだ!
西浦:「僕たちの究極の目的は、中小企業を1社でも多く強くて愛される会社にしようということ。
それができるのは我々会計事務所しかないって僕は確信しているんです。
中小企業とつきあうのは、弁護士、コンサルタント、銀行、役所・・・
彼らが同じことをやろうとしますかね?
中小企業の伴走者である会計事務所だからこそ、使命感からやるのです!」