後継者である社長の長男への承継にあたり、株主総会における議決権確保が最大の問題であったが、社長と役員持株会の議決権シェアが67%を超えることができた。
会社名 | 建設資材卸業を営むA社 |
売上 | 600億円 |
従業員数 | 700名 |
支店 | 5か所 |
BEFORE
社長の持株比率が低く、後継者である長男への事業承継にあたり安定した経営を行うため、議決権の確保が必須でした。
社長の持株比率を上げるために考えられるのは自社株の買取りですが、この会社は業績好調で、しかも過去の内部留保や含み資産のため株価は高く、社長の資金ではとても買い取ることができない状態だったのです。
また、会社の資金や、金融機関からの借入金を活用したとしても、結果として事業に必要な資金に手をつけることになってしまい、今後の会社経営に大きな影響を与えることになってしまうことも予測できました。
更に悪いことに、弟を含む親族株主の多くが、代々受け継いできた自社株を手放すことに抵抗を示しており、自社株を買い取ることは現実不可能な状態だったのです。
これまでの相続により自社株が分散しており、株主には社長の弟である取締役を筆頭に親族株主十数名が名を連ね、社長の持株比率は30%程度。
AFTER
最終的に社長には、社長と共に引退することとなる弟や、他の親族株主に次のことを説明、説得をするようアドバイスを行いました。
その骨子は・・
- 会社の経営は長男と役員に任せて欲しい。そのためには議決権を確保することが必要であり、したがって自社株を買い取る必要がある。
- ただし、このまま自社株を持ち続けていたいという意向を持っている親族株主もおり、一族の財産としての自社株を強制的に買い取るつもりはなく、また、すべての株式を買い取れるだけの資金はない。
- 長男と役員にとっては「財産権」よりも「経営権」が必要であるが、親族株主には「経営権」よりも「財産権」を重要視して欲しい。したがって、将来、長男に承継する自分の株式と経営に携わる役員で構成される役員持株会が所有する株式以外については、現状よりも多くの配当を受け取ることができる無議決権の配当優先株式に変更させて欲しい。
株式の種類の変更は、全株主の同意が必要となり、こだわりを持つのはこれまで一緒に経営をしてきた弟だけでした。
ただ、弟も社長の長男のことは認めているようであり、社長には弟への退職金の上積みの検討を依頼、これまでの会社への功績を称えてもらうことをお願いしました。
最終的には、これら社長の説明を聞いた弟も納得し承諾に至ったのです。
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