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コロナ対策のマスク購入・PCR検査費用・オンライン診療は、医療費控除になるの?

投稿日:2020年12月11日 更新日:

緊急事態宣言の頃、マスクは 1箱4,000~5,000円するのが一般的でした。
当時に買い置きした人や、家族が多い場合、マスク購入費は、かなりの金額になったのではないでしょうか。

また、簡単に受けることができなかったPCR検査も、最近では検査を行う医療機関が増加しているようです。

そこで今回は、このマスク購入やPCR検査の費用、さらに最近話題となっているオンライン診療の諸費用について、医療費控除の対象になるのかどうか紹介します。


 

1.マスク購入費用

医療費控除の対象となる医療費は次のものとされています。

① 医師等による診療や治療のために支払った費用
② 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

したがって、マスクの購入費用は、診療や治療には当たらず、医薬品でもありませんので、医療費控除の対象にはなりません。

実際、国税庁のHPにも「新型コロナウィルス感染症を予防するために購入したマスクの費用は、医療費控除の対象とはならない」と明記されています。

パンデミック防止にマスクは重要な役割を果たしているのに残念ですね。

なお、国税庁のHPには、健康維持を目的とするビタミン剤の購入費用も対象外と追記されており、つまり、「病気の予防のための費用」は医療費控除の対象とはならない、という見解であることが読み取れます。
 

2.PCR検査費用

PCR検査費用が医療費控除の対象となるかどうかは、ケースによって異なります。

医師等の判断によりPCR検査を受けた場合

「新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用」(国税庁HPより)は、医療費控除の対象となります。

つまり、上記の

① 医師等による診療や治療のために支払った費用

に該当すると判断され、医療費控除の対象となるわけです。

ポイントは「医師等の判断によりPCR検査を受けた」ということですので、自己判断によるPCR検査は対象にはなりません。(次項ご参照)

なお、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限ります。
今は、医師等の判断によりPCR検査を受ける場合は保険適用がありますが、健康保険負担、公費負担により行われる部分の金額は、当然、医療費控除の対象外となります。


 

前項以外の場合(自己の判断によりPCR検査を受けた場合)

最近では、症状がなくても、
「もしかしたら感染者と接触したのではないか?」
「家族が働く会社で感染者が出たので心配」
といった不安から、自ら進んでPCR検査を受けるケースもあると思います。

しかし、「単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用」(国税庁HPより)は、医療費控除の対象となりません

こうしたケースの場合は、上記の

① 医師等による診療や治療のために支払った費用
② 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

のどちらにも該当しないからです。

なお、こうした自己判断によるPCR検査費用には保険適用もありませんので、自己負担額は大きなものとなりますね。

ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、そのPCR検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その場合の検査費用は、医療費控除の対象となります。

これは、人間ドックを受け、病気が判明した場合は、医療費控除になるという見解に似ています。自己判断による検診費用は基本的に医療費控除になりませんが、その後に医療にかかる結果が出た場合は、その検診費用は医療費控除の対象となります。これと同じ考え方ですね。
 

3.オンライン診療の諸費用

筆者は受けたことはありませんが、自宅でうけられ感染リスクの少ないオンライン診療を検討しようという人が多いのではないでしょうか。

最近は、PCR検査と同様にオンライン診断を開始している医療機関も増加しています。

ところで、オンライン診療とひとことに言っても、診療メニューを見ると、オンライン診療費のほかシステム利用料の支払なども必要となるようです。

また、処方された医薬品については、希望した調剤薬局に処方箋が送付され、調剤薬局から医薬品が自宅へ配送される、ということもできるようで、その配送料という費用も発生してきます。

そのため、オンライン診療の諸費用については、項目によって以下のように、医療費控除の対象となるもの・ならないものが明示されています。

項目 医療費控除の判断
①オンライン診察料 オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象となります。
②オンラインシステム利用料 医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料については、オンライン診療に直接必要な費用に該当しますので、医療費控除の対象となります。
③処方された医薬品の購入費用 処方された医薬品の購入費用が、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合は、医療費控除の対象となります。
④処方された医薬品の配送料 医薬品の配送料については、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用に該当しませんので、医療費控除の対象となりません。

確定申告にあたり、今一度確認してみてはいかがでしょうか。
思わぬところで、税金が戻ってくるかもしれません。

(参考)国税庁HP「国税における新型コロナウイルス感染症拡大への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱い」(2020年10月23日)

 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 社員 税理士 永持 祐司
税務顧問から個人資産家や法人オーナーの資産税業務を含めた財産コンサルティングに従事。組織再編を活用した事業承継、財産承継コンサルティングの業務を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。現在、国際部副部長。

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