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あなたは確定申告が必要な人?確定申告したほうがお得な人?

投稿日:2022年12月19日 更新日:

今年も確定申告の時期が近づいてきました。
個人事業主の方などは、毎年恒例のイベントだと思いますが、会社勤めの方などは、自分は確定申告をすべきなの?と迷われる人も多いのではないでしょうか。

会社勤めの方でも確定申告が必要な人もいますし、確定申告をすることで税金が戻ってくる人もいます。
今回は、確定申告が必要な人と、確定申告したほうがお得になる人について説明させていただきます。
 

そもそも確定申告とは?

簡単に言うと、確定申告とは、個人の1年間の儲けに対して、所得税という税金を計算する手続きのことを言います。

儲けは、正確には所得と言い、1年間の収入から経費を差し引いた利益に相当するものです。

所得税の確定申告は毎年3月15日までに自分で計算して、税務署に申告するルールになっています。
 

確定申告が必要な人とは?

では、確定申告が必要な人とはどんな人でしょうか。
代表的なケースをいくつか紹介したいと思います。

(1)個人事業主

自営業やフリーランスなど、会社勤めではなく、自分で仕事をしている人は確定申告が必要になります。
最近だと、副業をする人も増えてきていると思いますが、副業で所得がある人なども確定申告が必要になりますので注意が必要です。

(ご参考)メルカリで利益が出たら確定申告は?

(2)不動産収入がある人

不動産などを持っており、不動産の賃料収入がある人は確定申告が必要になります。
会社勤めの人の中にも、投資不動産を持っており、給与収入のほかに不動産収入がある人も多いのではないでしょうか。

(3)給与収入が年間2,000万円超の人

会社勤めの人は会社で年末調整という手続きをしてくれますので、基本的に給与収入に対して確定申告をする必要はありません。
ただし、給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象外とされていますので、自分で確定申告をする必要があります。

(4)2か所以上から給与収入がある人

年末調整の手続きは、主たる勤務先でしかすることができません。
そのため、主たる勤務先以外に複数の会社でお勤めをしている人は、年末調整されていない給与収入について自分で確定申告をする必要があります。

(5)年間400万円超の公的年金をもらっている人

基本的に公的年金をもらっているだけでは確定申告をする必要はありませんが、もらっている年金の金額が年間で400万円を超えるような人は、確定申告が必要になってきます。

(6)不動産の売却で利益が出た人

保有していた不動産を売却した人で、売却に伴い利益が出ている場合には、確定申告をする必要があります。

(7)株の売却で利益が出た人

通常、株式投資をする際は、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)内ですると思いますが、その場合はすでに税金が徴収されていますので、自分で確定申告をする必要はありません。

証券会社を通さずに、自分で株の売買などをした場合で、利益が出ている人については、確定申告をする必要があります。


 

確定申告したほうがお得な人は?

では、次に確定申告する必要はないが、確定申告をすることで税金が安くなる人について、代表的なケースを紹介したいと思います。

(1)医療費がある人

確定申告で医療費控除という手続きをすることで、支払った医療費の金額を所得から差し引くことにより、税金を安くすることができます。

医療費の金額が、年間10万円を超える場合か、自分の所得金額の5%を超える場合に、この制度が適用できます

対象となる医療費は自分で支払ったもの以外に、家族が支払ったものも含まれます。

病気やケガなどで年間の医療費が多いような場合には、医療費の領収書を捨てずに取っておき、医療費控除をすることがおすすめです。

(参考)所得控除の基本(3)~医療費控除とは?

(2)寄付をした人

確定申告で寄付金控除という手続きをすることで、支払った寄付金の金額を所得から差し引くことにより、税金を安くすることができます。

寄付の相手先はどこでも良いわけではなく、基本的には国などの自治体や赤十字などの公共団体などが対象になります

最近利用者が増えている、ふるさと納税についても寄付金控除の手続きにより税金を安くする仕組みになっています。

(参考)所得控除の基本(4)~寄付金控除、雑損控除とは?

(3)はじめて住宅ローンを組んだ人

住宅ローンを組んでマイホームを購入した人は、確定申告で住宅ローン控除という手続きをすることで、ローン残高のうち一定の金額を税額から差し引くことにより、税金を安くすることができます。

住宅ローン控除は、マイホームを購入した1年目は確定申告をする必要がありますが、会社勤めであれば、2年目以降は年末調整の手続きにより行うことができます

(参考)2022年1月から住宅ローン控除が変わりました!

(4)年末調整で控除証明書の提出ができなかった人

会社勤めの人であれば、年末調整により所得税の計算が完了しますので確定申告を行う必要はありませんが、保険料の控除証明書などの提出を忘れてしまったような場合には、自分で確定申告することで税金の還付を受けることができます

保険料の控除証明書などは年末調整の際にもれなく提出したいところですが、もし忘れてしまったような場合には確定申告をすることがおすすめです。

(5)株式投資で赤字があるような人

基本的に株式投資で赤字があったとしても確定申告をする必要はありません。
赤字の場合には儲けがないということなので、そもそも税金もかからないということです。

ただし、赤字部分については翌年以降に黒字が出た場合に、赤字と黒字を相殺することができる仕組みになっています。
要するに、翌年以降に株式投資で黒字が出た場合に税金が安くなるということです。

ポイントとして、相殺をするためには、赤字が出た年に確定申告をしておく必要があります
この手続きはあまり知られておらず、忘れがちですので、株式投資をして赤字があるような場合には、くれぐれも確定申告を忘れないようにしてください。
 

まとめ

確定申告の手続きを忘れてしまうと、思わぬペナルティが発生したり、税金を払いすぎてしまったりと、デメリットが生じることも少なくありません。

税金の仕組みは分かりづらい部分も多いですが、自分の収入状況などをよく確認し、忘れずに確定申告をしていただければと思います。

 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士  長沢健史
2001年 法政大学卒。主に中堅企業から上場企業に対する税務顧問、税務コンサルティング業務に従事。企業再生支援業務等にも携わる。組織再編、連結納税等の手法を利用したタックスプランニング、資本政策の策定に強みを持つ。

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