税金

軽減税率とは?テイクアウトとイートインで値段が変わる?

投稿日:2019年2月22日 更新日:

軽減税率とは、2019年10月1日から実施される予定の消費税増税における経過措置です。

今回の消費税増税では、ほとんどの商品の消費税率を8%から10%に引き上げますが、「飲食料品」と「新聞」は軽減税率8%が適用され、例外的に8%に据え置かれます。

軽減税率8%の対象品目を詳しく見ていきます。

消費税の軽減税率
 

消費税率8%に据え置かれる「飲食料品」「新聞」とは?

飲食料品とは?

「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除きます。)をいい、一定の一体資産(おもちゃ付きお菓子などのように食品と食品以外が一体となっているもの)を含みます。
外食やケータリング等は、軽減税率の対象から除かれます。

新聞とは?

「新聞」とは、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくもの」とされています。
 

軽減税率の対象となる具体的な事例

これだけでは分かりにくいため、8%なのか10%なのか混乱しそうな商品やサービスの事例をQ&A形式で見ていきます。

テイクアウトとイートインでは税率が変わる?

ハンバーガーショップなどファーストフード店では、商品を持って帰る「テイクアウト」することもできますし、外食として店の中で食べる「イートイン」することもできます。
外食の定義は、「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」です。

そのため、イートインの場合は外食として扱われるので消費税率は10%ですが、テイクアウトの場合は飲食料品を買ったことになりますので8%の税率が適用されます。
この判断は、イートインなのかテイクアウトなのか消費者に意思確認することで判定することになります。

テイクアウトの消費税
 

コンビニのイートインスペースでの飲食は軽減税率?

イートインスペースを設置しているコンビニエンスストアにおいて、例えば、トレイや返却が必要な食器に入れて飲食料品を提供する場合は、イートインスペースで飲食させる「食事の提供」になり、軽減税率の対象となりません。

コンビニエンスストアでは、ホットスナックや弁当のように持ち帰ることも店内で飲食することも可能な飲食料品を扱っており、飲食料を持ち帰る場合は軽減税率の適用対象となります。
この判断は、フォーストフード店と同様、消費者に意思確認することで判定します。

イートインの消費税
 

駅のキオスクやコンビニで売られている新聞は軽減税率?

新聞の購読も軽減税率の適用対象ですが、定期購読契約に基づくものと定義されているため、駅のキオスクやコンビニエンスストアで売られている新聞の購入は、消費税率が10%になります。

また、企業が自社製品のPR目的で「新聞」と名付けて不定期発行しているものやインターネット回線を利用する電子版の新聞は、軽減税率の適用対象となりません。
 
 

軽減税率の導入で、企業側には様々な影響が!

軽減税率の導入による影響は、消費者だけではなく、商品やサービスを提供する企業側にも及びます。
特に小売店の実店舗を持っている会社はレジやPOSシステムの改修が必要になります。

軽減税率の導入を円滑に進めるためには、

  • 商品の税率の確認と価格表示の変更
  • 帳簿や請求書の記載方式の変更
  • 軽減税率対応レジ・システムの導入

が挙げられます。


 

商品の税率の確認と価格表示の変更

小売店を営んでいる事業者は、自社で取り扱っている商品の税率が、10%なのか8%なのかの確認が必要になります。
それを踏まえ、価格の表示も変更していくことになります。

価格の表示は、原則「税込価格」で表示する必要があるため、テイクアウトとイートインの両方がある小売店は、両方を表示する必要があります。

なお、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限である2021年3月31日までは、税抜価格による表示も認められています。

帳簿や請求書の記載方式の変更

軽減税率が導入される2019年10月以降、帳簿付けや請求書の発行の際、軽減税率8%対象のものと標準税率10%対象のものを、別々に記載しなければならなくなります。

軽減税率に対応する請求書のことを「区分記載請求書」といい、軽減税率に対応する新たな経理事務のことを「区分経理」といいます。

軽減税率対応レジ・システムの導入

軽減税率が導入されると、小売店などでは、消費税率8%と10%の両方の税率に対応しているレジやPOSシステムを使う必要があります。また、受発注システムを導入している場合も複数の税率に対応しているかどうかの確認が必要になります。

軽減税率に対応するため、新たなレジを購入したり、受発注システムを改修したりする場合、軽減税率対応補助金を受けることが出来ます。
最大で費用の3分の2が補助されますので、検討されるとよいでしょう。
詳しくは、国税庁のホームページをご参照ください。

最後に、軽減税率制度は、全ての事業者の方に関係があります。
飲食料品の取扱い(販売)がない事業者も、区分記載請求書の交付や、区分経理が必要になりますのでご注意ください。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士 稲木武雄
2000年 金沢大学卒。ベンチャー企業から上場会社まで幅広い会社の税務顧問業務を担当、また、組織再編成実行支援といった特殊税務や相続対策などの資産税についても幅広く対応、総合的な税務コンサルタントとして活躍するプロジェクトマネージャー。

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